特殊教育学研究
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支援ツールを活用した現場実習における就労指導プログラムの効果と長期的維持(実践研究特集号)
高畑 庄蔵武蔵 博文
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2002 年 39 巻 5 号 p. 47-57

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抄録
本研究は、知的障害養護学校の現場実習及び卒業・就労後の長期的な経過を報告・検討するとともに、事業所での支援ツールによる就労指導プログラムの検討を目的とする。対象生徒は、高等部3年生に在籍する中度知的障害の17歳の男子生徒1名であり、現場実習先は、老人ホーム、病院等のおむつ洗浄を扱うリネン関係の有限会社であった。まず職場において工場長と協議しながら環境調査を実施した。次に業務の選定、業務分析、「ナンバーシール」「業務遂行チェックリスト」等の支援ツールの作成・配置を行い、実地に指導した。さらに就労後1年5か月にわたり定期的にフォローアップを実施した。加えて、事業所の工場長、保護者、対象生徒本人に対してアンケート調査も定期的に実施し、本プログラムに関する社会的妥当性を測定した。結果、現場実習で業務遂行スキルを習得し、そのスキルが卒業・就労後1年5か月にわたって安定して維持していることが確認された。また、本研究で設定した目標、支援ツール、支援手続き、効果について対象生徒、保護者、工場長へ卒業・就労後アンケート調査でも高い評価を得た。現場実習での就労指導プログラムの有効性、業務スキルの獲得及び長期的維持の方略の観点から考察した。
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© 2002 日本特殊教育学会
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