日本調理科学会大会研究発表要旨集
セッションID: 2A-5
会議情報

口頭発表
夜遅い食事に適した「夜食パン」の開発
—時間栄養学の視点から,その生理作用を考える—
*古谷 彰子原田 昌博安藤 慎一平尾 和子柴田 重信井上 好文
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】全粒粉は血中コレステロールを正常化し,食後血糖値の上昇を抑え,満腹感を持続させる機能性をもっている。しかし,市場に出回る機能性を謳った全粒粉パンは,その置換量が少なく,嗜好性も悪いため,毎日摂取することが困難である。一方,夜遅くの食事や空腹が睡眠の質に影響を与えることもわかっています。そこで,本研究では全粒粉100%配合で,夜遅い夕食に適した嗜好性の高い全粒粉パンの開発を行うことを目的とし,さらにはその生理作用も検討する。

【方法】以下の手順で実験を遂行する。1)市販の全粒粉パンをベースに,全粒粉パンらしさと美味しさを両立し,且つヒト試験に適した全粒粉100%パンを3種類開発する。2)全粒粉100%パン3種類の嗜好性について,官能評価を実施する。3)実際に遅い夕食として喫食してもらい,体内時計の乱れが起きるのかどうかを,強力粉100%パンと比較してヒト試験を行う(測定項目:血糖値,睡眠時脳波測定,深部体温計)。以上より,全粒粉100%パンが遅い夕食で食べてもよいかどうか,その有効性を評価検討する。なお,官能評価のパネル,ヒト試験の被験者は事前に同意を得た愛国学園短期大学教職員および学生(18~70歳)とする。

【結果】全粒粉のパンは特に若い世代に受け入れづらい傾向があった。しかしながら焼くという調理を施すことで,全粒粉独特の酸味,苦味が軽減され,その嗜好性は大きく上昇することがわかった。また,夜食として喫食した場合,喫食なしと比較して,全粒粉パンの方が主観的睡眠評価(眠りの深さ)が高い傾向があった。全粒粉パンは,食後の高血糖も抑えられていることから良質な睡眠につながったのではないかと示唆され,Late Night Bread としての可能性が期待される。

著者関連情報
© 2023 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top