2004 年 42 巻 2 号 p. 133-144
本研究では、多様な生徒が在籍する中学校知的障害児学級の担任への支援方法として、発達臨床の専門性から問題解決を目的としたコンサルテーションを実施し、このような支援方法が、知的障害児学級の多様なニーズをもつ生徒に対して適切な教育を構築し、生徒の発達の保障と生活への参加を可能にするうえでどのような効果があったかを検討した。論文では、コンサルテーションのプロセスの説明、典型的な2事例の紹介および実施した全事例のまとめを行い、担任からの評価の分析と合わせて本取り組みの意義と課題について考察を行った。その結果、発達臨床コンサルテーションは、生徒の発達像を理解するうえで特に有効であり、生徒の多様なニーズに担任が応えていく力量形成につながること、担任が将来同様の問題に直面した場合の解決能力を高める予防的機能を強くもったことが示唆された。また、担任の立場や状況などにより効果が異なることも明らかになった。