2005 年 43 巻 3 号 p. 203-214
本研究の目的は、自発的な身体の動きがまったく見いだされなかった超重症児に対する教育的対応の経過から、かかわり手である筆者らがどのようにしてその糸口に気づき、教育的対応を展開したかを明らかにするとともに、対象児の状態変化の意味について検討することである。当初、かかわりは、医療的対応場面の観察や心拍数の変化を主要な手がかりとして行われたが、次第に身体の動きが見いだされ、それが主要な手がかりとなっていった。身体の動きについては、働きかけに対する応答的なもののみであったのが、次第に自発的なものもみられるようになり、また発現する状況によって、動きの型が異なる傾向があることなどが見いだされた。こうした結果から、1)不安定な心拍数変化も、より積極的に、反応性の発現としての可能性を考慮してかかわることの重要性、2)かかわりにおいては、ごく微細な身体の動きも意味あるものとして働きかける一方、その際の仮定を明確に意識し、その妥当性を検証する視点を有することの重要性、3)状態変化の発現の特徴とその意味、およびそれに関係するかかわり手のあり方について、それぞれ考察を行った。