本研究は、養護学校の教師が、LD・ADHD等の軽度発達障害の疑いがある児童への教育的支援で問題を抱えている通常学級担任に対して行ったコンサルテーションに関する事例研究である。支援対象児童は、軽度発達障害が疑われるとして学校側がスクリーニングした小学2年生の男児3名であり、授業中の立ち歩き、私語、注意の集中困難、級友とのトラブルや暴力的行動等の共通した行動問題を抱えていた。問題の分析から、教師が児童の行動問題に注目するのではなく、行動問題以外の行動を評価すること、および個別の直接的・積極的な支援を中心に話し合いと実践が行われた。その結果、児童の学習行動を評価する教師の行動(褒める・微笑む等)が増加するとともに、さまざまな行動問題の低減がみられた。このことから、養護学校の教師の限られた時間でのコンサルテーションによる支援は、軽度発達障害等のある児童への教育的支援としてある程度有効に機能することが示された。