2007 年 44 巻 5 号 p. 291-299
障害児の父親の育児行為に対する母親の認識と育児感情の関連について検討するため、小・中学生の障害児をもつ母親98名に対し、質問紙調査を行った。因子分析の結果、母親が認識している父親の育児行為からは「精神的育児関与」「家庭内での活動」「家庭外での活動」の3因子が、母親の育児感情からは「不安・負担感」「前向きな捉え方」「孤独感」「母親としての自己評価」の4因子が抽出された。育児行為と育児感情それぞれの因子の相関を求めたところ、「精神的育児関与」と「前向きな捉え方」に有意な相関がみられ、父親が母親とよく話し、子どもの特性を理解していると母親が認識しているかどうかが、母親が前向きに育児に取り組むことと関連していることが示された。父親の育児行為の中でも、特に母親を精神的に支える行為を促すような働きかけとともに、母親に対する教育や福祉サービスによる精神面でのサポートの充実が求められる。