特殊教育学研究
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アスペルガー障害児の算数テスト場面における課題従事行動の支援 : 自分で見いだした解答方略を活用した自己管理の効果の検討
岡村 章司渡部 匡隆大木 信吾
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2009 年 47 巻 3 号 p. 155-162

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抄録

アスペルガー障害のある児童を対象に、算数の課題従事行動を高めるための自己管理の支援法について検討することを目的とした。対象児はテスト場面において、活動に安定して取り組むことが困難であり、プリントを破るなどの行動がみられていた。行動観察の結果に基づき、介入1期では、得点のグラフ化、休憩時間の活動内容の事前選択、それらのスケジュールを自分で記入することからなる自己管理の支援を行った。介入2期では、解答する順番を決める、解き方を自分で言いながら解くなどの、本人自らが行っている解答方略を明記した自己教示支援シートを用いた自己管理の支援を行った。その結果、ベースライン期に比べて、課題従事率と得点の向上がもたらされた。また、指導者変更条件および指導者不在条件においても、その結果が維持された。以上の結果について、本人が見いだした解答方略を尊重した自己管理の支援の有効性から考察した。

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© 2009 日本特殊教育学会
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