特殊教育学研究
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実践研究
文字想起に困難を示す児童を対象とした自己有能感を高める学習支援プログラムの構築
―仮名文字習得から漢字想起への展開事例を通して―
堀井 利衛子
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2011 年 49 巻 2 号 p. 191-201

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抄録
文字習得に困難を示す児童には、自己有能感、学習意欲がともに低下し、ますます学習についていけなくなるという悪循環を抱えているものが少なくない。そこで、文字想起に困難をもち自己有能感が低下した児童1名を対象とした学習支援プログラムの構築を検討した。アセスメント、支援方略の選択、支援効果の検証と支援を循環させ、自己有能感を高める支援と的確なアセスメントに基づく学習方略の選択を並行して進めることを試みた。支援方略の選択過程を、1:自己有能感を高める状況設定、2:平仮名読み支援、3:平仮名、片仮名の形態記憶支援、4:文字想起速度の向上支援、5:漢字の形態記憶支援、の5段階で設定した。その結果、対象児の自己有能感が高まり、文字想起が促され正確な書字の量が増加した。自己有能感を向上させる状況設定と認知特性に応じた学習方略の提案とを並行させた学習支援が文字習得に困難をもつ児童に有効であることが示唆された。
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© 2011 日本特殊教育学会
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