2012 年 50 巻 4 号 p. 393-401
本研究は、知的障害特別支援学校の小学部に在籍するある自閉症児の荷物整理や着替えの行動がつながっていないことに対し、その要因を分析し、指導を行った事例研究である。対象児の行動が中断する要因について明らかにするために、対象児が行う登校時の着替えまでの場面を細分化し、課題分析を行った。その結果、教室内の視覚刺激や聴覚刺激、指導者によるプロンプト方法の違いなどが影響していることが明確になった。他児との登校時間をずらすなどの視覚・聴覚刺激の少ない環境を設定し、指導を開始した。また、手順カードの使用や、強化子としての絵本の活用により、自発的な行動遂行を目指した。以上の取り組みを通して、対象児が新しいことを学習する際に適した環境の検討や指導の方法について考察を行った。