特殊教育学研究
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実践研究
入所施設における他害行動などの行動問題を示す自閉症利用者への包括的支援
冨田 雅裕村本 浄司
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2013 年 51 巻 3 号 p. 301-310

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抄録

本研究では、入所施設における集団生活という制限が多い環境の中で、他害や便こねなどの行動問題を示す自閉症者1名に対して機能的アセスメントに基づいた支援を実施し、チームアプローチを目指すことによって、行動問題の軽減を図ることを目的とした。アセスメント情報に基づいた仮説から、他害や便こねには複数の機能が存在していると推測された。そこで、「行動問題が起こりにくいようにする支援」「行動問題の代わりの行動を教える支援」「行動問題が起きた後の対応」「行動問題が起きていないとき、望ましい行動を起こしたときの対応」の4つを柱に支援計画を立案し支援を実施した。その結果、行動問題は低減し、ベースラインと比べ生活の質を向上させることができた。この結果は、入所施設のような制限の多い環境においても、機能的アセスメントに基づいたチームアプローチによる支援の有効性を示している。

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© 2013 日本特殊教育学会
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