特殊教育学研究
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原著
学習障害児における改行ひらがな単語の音読特徴 ―音読の時間的側面と誤反応の分析に基づく検討―
瀧元 沙祈中 知華穂銘苅 実土後藤 隆章雲井 未歓小池 敏英
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2016 年 54 巻 2 号 p. 65-75

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抄録

本研究は、改行時に途切れたひらがな単語を音読する際の特徴を、通常音読と比較して検討した。定型発達児と比べて、改行単語の音読潜時が長い(2SD以上)LD児において、発話時間が長いタイプと、発話時間は同程度であるタイプを確認した。ロジスティック分析の結果、2~5文字のひらがな有意味単語の発話時間が通常音読で短い場合に、改行単語の発話時間が短く、音読が効率的になることを指摘した。一方、通常音読の5文字で音読潜時が延長し、標準未達成であったが、改行5文字で音読潜時が短縮し、標準達成を示したLD児を認めた。その中で、改行5文字条件の発話時間が延長した者では、文字―音変換に強く依存した読み方略を選択した可能性が示唆された。これらの者は、改行音読で自己修正を伴う誤反応の増加を示さなかった。自己修正には、概念的準備と音韻的単語が関与するため、これらの者では、改行単語の意味把握が阻害されたことを推測できる。

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© 2016 日本特殊教育学会
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