特殊教育学研究
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実践研究
重度・重複障害児の共同注意行動の発現過程とその支援 ―二項関係から三項関係への移行期の事例から―
菅 智津子樋口 和彦
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2017 年 55 巻 3 号 p. 145-155

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抄録

二項関係から三項関係移行期にある重度・重複障害児の共同注意行動の発現過程について、事例を通して検討した。人との二項関係では、やりとりが安定した後、対象者が大人の顔を見る行動の出現回数、場面、持続時間が増加した。物との二項関係では、対象者が物に注意を向け、単純な操作から複雑な操作ができるようになった。物を介した人とのかかわりでは、(1) 物とのかかわりが優位な段階、(2) 物にかかわりながらも人の存在を明確に意識している段階、(3) 物と人を関連付け、物への注意を他者と共有してかかわる段階、という順序で変容がみられ、「視野内の指差し理解」「交互凝視:確認」といった初期の共同注意行動が発現した。対象者の変容過程から、重度・重複障害児の共同注意行動の発現を促す具体的な支援が明らかになった。

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© 2017 日本特殊教育学会
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