2017 年 55 巻 3 号 p. 157-170
本研究では、特別支援学校(知的障害)の小学部1年生に在籍する3名の児童の保護者に対して、標的行動とその記録方法の選定、先行子操作と強化子の提示について学ぶ、全5回10週間のペアレント・トレーニングを行った。トレーニング方法は、子どもに対する標的行動の指導、指導結果の筆記記録および動画記録、相互ビデオフィードバックから構成した。トレーニングの有効性を、保護者記録から対象児が標的行動を獲得したかどうかから検証した。また、相互ビデオフィードバック時の保護者の発言の分析から、相互ビデオフィードバックが保護者および対象児の行動変容に与えた影響を推察した。その結果、1名の対象児の標的行動に改善がみられた。また、相互ビデオフィードバックが保護者の「子どもの行動に関するモニタリング」や、保護者同士の「共感・称賛」を促進しうることが示唆された。