特殊教育学研究
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研究時評
戦前期日本の精神薄弱児施設を対象にした精神薄弱児施設史研究の到達点および今日的意義と課題
高野 聡子
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2017 年 55 巻 4 号 p. 223-231

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抄録

 「精神薄弱児施設」とは、精神薄弱児を収容し教育と24時間の処遇を提供した入所型の施設である。国内では第二次世界大戦までに約10か所の精神薄弱児施設が創設され、精神薄弱児を保護するとともに、精神薄弱児のための教育を施設内で提供した。本稿では、戦前期に創設された精神薄弱児施設に関するこれまでの研究を、2000年代とそれ以前とに分けて整理し、(1)発掘された資料の保存を進め、史資料に基づいた研究がなされること、(2)施設ごとに異なる精神薄弱やその程度に関する用語を再検討すること、(3)精神薄弱児施設で行われた教育内容・方法を障害児教育史に位置づけること、(4)精神薄弱児施設が受けた欧米諸国の教育や処遇方法の影響を検討すること、を精神薄弱児施設史研究の今日的意義と課題であるとした。

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© 2017 日本特殊教育学会
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