特殊教育学研究
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研究時評
知的障害や自閉症スペクトラム障害のある人への好みのアセスメントとその活用に関する研究の動向
松下 浩之
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2018 年 56 巻 1 号 p. 47-57

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抄録

近年、障害のある人の好みを客観的に評価し、支援計画に活用することの重要性が指摘されている。そのための方法論として、応用行動分析学にもとづいた研究が海外では多くされている一方で、わが国においては、支援実践としての報告も多くない。本研究では、好みのアセスメントに関する海外の先行研究を概観して方法論の整理を行うとともに、直近5年間にわが国で発表された実践研究61編について、本人の好みの活用を観点として分析し、わが国における好みを活用した支援のあり方について検討を行った。その結果、好みを支援に活用している論文は半数以下であり、好みについて明確に記述した論文が少ないことが明らかとなった。その要因については、方法論自体の問題とともに、実践現場での知識不足や認知度の低さなどが考えられた。今後は支援手続きを工夫することで好みを活用していくことと、支援の場で活用できる簡易的なアセスメントの開発が、課題として検討された。

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© 2018 日本特殊教育学会
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