特殊教育学研究
Online ISSN : 2186-5132
Print ISSN : 0387-3374
ISSN-L : 0387-3374
資料
ADHDやASDのある大学生の認知特性とこれに関連する方略評価についての検討 ―DN-CAS認知評価システムの年齢外適用を通して―
青木 真純佐々木 銀河中島 範子岡崎 慎治竹田 一則
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 58 巻 3 号 p. 165-175

詳細
抄録

ASD、ADHDのある大学生に対してDN-CAS認知評価システムを年齢外適用し、知能のPASSモデルに基づく神経心理学的な認知特性ならびに「プランニング」の下位検査遂行中の使用方略の特徴を明らかとすることを目的とした。その結果、ADHD群は「注意」の得点が定型発達学生(TD)群と比べて低く、ADHD群の中核症状である注意制御の困難さを反映したものと考えられた。また、使用方略の特徴について、ADHD群、ASD群ともに「プランニング」の標準得点はTD群との差がみられなかったが、ADHD群では報告方略数が少なく、かつ方略得点が低いことから、方略を意識化して選択し、使用するようなセルフモニタリングの弱さが推察された。また、ASD群では、方略数には差がみられなかったものの、方略得点が低かったことから、TD群の多くが使用する方略とは異なる方略を使用した学生が多かったことを示すものと推察された。

著者関連情報
© 2020 日本特殊教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top