特殊教育学研究
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重度精神薄弱児(者)の行動観察と行動評価の研究
西村 章次
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1970 年 8 巻 2 号 p. 1-17

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抄録

1.年長最重度精神薄弱児・年少最重度精神薄弱児・年長重度精神薄弱児・年少重度精神薄弱児・自閉的重度精神薄弱児・普通児のグループおよび個人を対象として、行動の臨床観察を行なった。2.集団または個人、またはかわるものに対して、最重度精神薄弱児は非指向的であり、重度精神薄弱児は指向的であり、自閉的重度精神薄弱児は無関心であった。3.有意味行動と無意味行動の分析から、最重度と自閉的重度の精神薄弱児は、他のグループに比して無意味行動が多く、重度精神薄弱児と普通児は無意味行動が少なかった。4.行動の段階も、最重度と自閉的重度の精神薄弱児において低く、重度精神薄弱児と普通児において高かった。5.対人関係の量は、普通児が多く、精神薄弱児は少なかった。対人関係の対象については、最重度精神薄弱児では対職員などの関係が多く、他のグループでは対児童の関係が多かった。対人関係の内容については、最重度精神薄弱児は受動的であり、他の重度精神薄弱児のグループは受動的か能動的であり、普通児は能動的であった。6.行動の段階によって出された行動得点は、他の行動の側面の評価と高い関係をもっていることが示された。7.本研究における結果にもとずき、最重度精神薄弱児およびその他のグループ間の行動傾向を表にした。また、この表は判定の指針ともなる。8.今後この方法で観察を行なうことのために、最重度と重度の精神薄弱児の行動観察および行動評価の整理用紙-案-を紹介した。

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© 1970 日本特殊教育学会
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