特殊教育学研究
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8 巻, 2 号
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  • 西村 章次
    原稿種別: 本文
    1970 年 8 巻 2 号 p. 1-17
    発行日: 1970/12/01
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    1.年長最重度精神薄弱児・年少最重度精神薄弱児・年長重度精神薄弱児・年少重度精神薄弱児・自閉的重度精神薄弱児・普通児のグループおよび個人を対象として、行動の臨床観察を行なった。2.集団または個人、またはかわるものに対して、最重度精神薄弱児は非指向的であり、重度精神薄弱児は指向的であり、自閉的重度精神薄弱児は無関心であった。3.有意味行動と無意味行動の分析から、最重度と自閉的重度の精神薄弱児は、他のグループに比して無意味行動が多く、重度精神薄弱児と普通児は無意味行動が少なかった。4.行動の段階も、最重度と自閉的重度の精神薄弱児において低く、重度精神薄弱児と普通児において高かった。5.対人関係の量は、普通児が多く、精神薄弱児は少なかった。対人関係の対象については、最重度精神薄弱児では対職員などの関係が多く、他のグループでは対児童の関係が多かった。対人関係の内容については、最重度精神薄弱児は受動的であり、他の重度精神薄弱児のグループは受動的か能動的であり、普通児は能動的であった。6.行動の段階によって出された行動得点は、他の行動の側面の評価と高い関係をもっていることが示された。7.本研究における結果にもとずき、最重度精神薄弱児およびその他のグループ間の行動傾向を表にした。また、この表は判定の指針ともなる。8.今後この方法で観察を行なうことのために、最重度と重度の精神薄弱児の行動観察および行動評価の整理用紙-案-を紹介した。
  • 柚木 馥, 清水 敏男, 鈴木 克明
    原稿種別: 本文
    1970 年 8 巻 2 号 p. 18-27
    発行日: 1970/12/01
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    (1)まったく表出言語のないものからほぼ伝達可能な言語発達遅滞幼児4名の指導をおこない、単元構成のための動機づけの方法、指導回数、時間、刺激言語などの検討をおこなった。(2)指導の内容は、子どもが興味をもっている遊びを中心に単元を構成し、1単元10分づつ遊びを中心に言語治療指導方式で9回にわたって指導をおこなった。(3)6単元のうち、3単元ではテレビを導入し、あらかじめ集録した同一単元での子どもの遊びを最初の5分間視聴させ、効果を検討した。(4)それぞれの単元に15語の刺激言語を準備し、指導の中で意図的にくり返し、定着化を図った。(5)指導回数の検討のため、I期、II期、III期に分類しあらわれた言語・行動を比較したところケースによってその傾向に差違のあることがわかった。しかし、ほぼII期、4-6回で行動の改善が最もみとめられ、以後、下降することがわかった。(6)テレビとり入れ単元とその他単元とではむしろ、テレビとり入れ単元で行動が散乱的になることがわかった。発達の障害の重度な幼児の場合、一対一指導の念入りな経験を積ませることから徐々に導入すべきであることを示唆している。(7)10分間にわたる指導時間の推移を分析的に検討したところ、およそ5分〜8分までの問で最も行動の凝集が高かったことがわかった。今後の単元構成の際の時間を規定する一応の目安となろう。(8)単元の中で行動の凝集がみとめられる傾向の強かったものは1)身辺生活2)非対人的なものひとり遊び)であった。特にこの傾向は発達の重度なものでは著しかった。(9)刺激言語のうち発話された内容の分析をおこなったところ、ケースによって大きな差がしめされた。また刺激言語の発語率にも差があった。発語率は発達的に重度のものでは低く、刺激語を低減する必要が考えられた。(10)発語され易すい条件として、子どもの構音能力の実態、言語の行動化、興味の重視などが症例の発語内容の分析からあきらかとなった。
  • 佐久間 モト, 三宅 明
    原稿種別: 本文
    1970 年 8 巻 2 号 p. 28-35
    発行日: 1970/12/01
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    The state of simple visual defect without any cerebral disturbance, which usually is not present in the medical clinic, was produced in animals. This paper describes how to produce the blind animals by treatment and how to bring up the blind animals. Two experiments were made. In pilot experiment, we made two groups of complete blindness. The first group of animals were operated on both eyes in early suckling period of 14th day after birth, which was called a congenital blindness group, and the second group was operated in early childhood about twenty seven days after birth, which was called an acquired blindness group. Each blindness group consisted of four mice (dd N type), five rats (Wister type) and two dogs (mongrel). The precise experiment was a furthar study on the results of the pilot experiment, using nine rats of congenital blindness group. Three methods were used to produce complete blindness: 1. burning both eyes by a heated iron stick, 2. extirpation of both eyes with a pair of excision scissors, 3. covering of both eyes by aluminum foil with a medical bond; Aron alpha A (SANKYO, α-cyanoacrylate monomer). Artficial feeding was started at eleventh day after birth by giving 1.0ml of commercially obtained cow's milk to seventeen rats in equal amount by mean of a tuberculine syrine twice a day, in addition to mother's milk at liberty. This was mas made to prepare the animals for artificial feeding much earlier. At 15th day kneaded food, which was prepared by mixing cow's milk and weaning stuff in equal ratio in weight, was started in addition to artificial milk feeding and water at liberty. On 16th day four rats were made blind by burning method and five rats by covering method. Eight rats were controls. After operation animals were separated from motheres. The amount of kneaded food was increased according to the increment of body weight in two groups of animals. At 22nd day only solid weaning stuff was given. At 28th day usual rat-food was given. The growth of animal was watched by weighing each animal every day. It was found as the results of these treatments that blinded animals, especially, alminum leaf covered animals, out grew the normal controls.
  • 五十嵐 信敬, 青山 祥二, 猪平 真理, 渡辺 須美子
    原稿種別: 本文
    1970 年 8 巻 2 号 p. 36-49
    発行日: 1970/12/01
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    This study was conducted in order to develop the instruction method in mobility of pre-school blind children. This instruction method was established through the following steps, starting at the evaluation of their ability in mobility. 1) The developmental stages regarding the ability in mobility of non-blind early childhood were examined through the survey of the related literatures. 2) The ability in mobilty of pre-school blind children were checked through the questionair-method and observation-method. In this checking, non-trained blind children revealed the lower ability than average. 3) Thus, the goals regarding the instruction of mobility, judged to be adequate for the children, were arranged. 4) In this process, Ability Test of Mobilty for Pre-School Children was designed for the evaluation of the ability in mobility. 5) The planning for the instruction was determined, utilizing the results of the test. 6) An instruction method consisting of Instruction Method of Mobility on Developmental Stages and Special Instruction Method of Mobility was revealed.
  • 橋本 重治, 松原 達哉, 中司 利一, 藤田 和弘, 藤田 雅子, 栗原 輝雄, 柳本 雄次
    原稿種別: 本文
    1970 年 8 巻 2 号 p. 50-63
    発行日: 1970/12/01
    公開日: 2017/07/28
    ジャーナル フリー
    本研究は、肢体不自由児の性格・行動に関して、第1報にひき続き、次のような目的で行なった。1.肢体不自由児の性差と性格・行動との関連を調べること。2.肢体不自由児の運動障害の程度と性格・行動との関連を調べること。3.肢体不自由児にどのような性格・行動がみられるかを事例により研究すること。研究結果は、次のように要約できる。(1)脳性まひの男子に多いのは、社会性がありという性格・行動で、その中でも人なつこいという内容のものが多かった。また、関心事への固執とか、がんこさ、ふざける、はしゃぐといった傾向も多くみられた。脳性まひ児の女子に多いのは、その中でも、世話をよくするという傾向が多くみられた。また、感覚刺激に注意を奪われやすい、感情の変化が激しい、泣く、驚きやすいといった情緒的な性格・行動も多くみられた。非脳損傷肢体不自由児の男子に多い性格・行動は、忍耐力がなく意欲に乏しく、人見知りする、自信欠如などであり、女子に多いのは、一般的活動性、社会性があるという性格行動で、特に意欲的、明朗、指導性などが多くみられた。このように男子と女子とでは、その性格・行動に関して差異がみられたが、この差異は、脳性まひ児群の間でも非脳損傷肢体不自由児群の間でも異なっていた。このことは、病因ごとの性差による性格・行動のちがいを更に深く研究することを示唆している。(2)障害程度と性格・行動との関連について脳性まひ児群と非脳損傷肢体不自由児群とに共通した結果は、重度群は軽度群に比べて依存性が高いということである。このことは、病因に関係なく、障害程度と依存性という特性との間に密接な関係があることを示している。一方、両群間で相違した結果は、脳性まひ児群の場合は、重度群よりも軽度群に自己統制の欠如および攻撃性を示す者が多いことと、非脳損傷肢体不自由児群の場合は、軽度群は重度群に比べて一般的活動性が高いが劣等感を示す者が多く、重度群には抑うつ性を示す者が多いということである。両群の結果がこのように異なった結果を示したのは、脳性まひという病因による特殊性-脳損傷や知能障害など-が関係しているのではないかということが考察された。(3)事例研究では、脳性まひ児群、非脳損傷肢体不自由児群の中から代表的な4ケースを選び、各児童がいかなる性格・行動特性を有するかをみるために、我々が分類した22の大項目に照らして質的に検討した。
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