本稿では,徳島市が抱える,未婚化・晩婚化による少子化問題,大学進学時及び就職時の若年層の県外流出問題を改善し,活気あるまちにすることを目的に,「地域移動と結婚」の関連性の検証及び政策提言を行った。 実証分析では,交際から結婚への移行状況と地域移動の状況を同時に把握可能な希少な調査データ(内閣府経済社会総合研究所「インターネットによる結婚の意思決定に関する意識調査,2016」)をロジスティック回帰分析することで,交際相手がいた学生における就職時の地域移動は,未婚化及び晩婚化の要因となることを初めて明らかにした。 この分析結果を踏まえ,少子化問題及び若年層の県外流出問題の改善策として,大学居住地でそのまま就職をしてもらうための政策を掲げた。そして,これを実現するためには,地元大学進学率を上昇させること,地元への愛着を高めることが効果的であり,魅力ある大学とまちづくりを推進していくことの重要性を提言した。