抄録
血糖コントロールに関する新しい質問表を作成し, 血糖コントロールの質的評価を行った. 質問表は29質問から構成され再現性は良好であった. 調査 (144例) の結果, 月1回以上の低血糖は74.3%の患者が経験し, 1型糖尿病患者および強化療法患者で有意に多く経験していた. 低血糖発生時間帯は, 昼食前, 夕食前および夜間就寝中に多く, 低血糖困惑度は夜間就寝中が最も高かった. 重症低血糖はその57.1%が夜間就寝中に発現し, 無自覚低血糖は15~26%の患者に認められた. 血糖コントロールの患者目標値は学会基準の「良」と同等であったが, 現実はHbA1c値で約1%高かった. インスリン治療全般への満足度に比して, 血糖コントロールおよび血糖値変動に対する満足度は低かった. この結果から高血糖および低血糖が少なく, かつよりよい血糖コントロールの得られる治療法が望まれていることが示唆された.