糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
抗GAD抗体, ICA, IA-2抗体陽性で, 少量のインスリン治療で内因性インスリン分泌が保持されている緩徐進行1型糖尿病の1例
松本 光生佐藤 信一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 48 巻 4 号 p. 257-261

詳細
抄録

症例は48歳の男性. 2003年4月より口渇, 多飲多尿, 2カ月で6 kgの体重減少あり. 近医にて随時血糖723 mg/dl, HbA1c 11.9%を指摘され, 当院を紹介され入院となった. 清涼飲料水の多飲が認められたため, 当初は清涼飲料水ケトーシスと診断し強化インスリン療法を行った. その後, 抗GAD抗体4,270.0 U/ml, ICA 1,280 JDF単位, IA-2抗体4.4 U/ml と各種膵島関連抗体が高値であることが判明したが, 内因性インスリン分泌は尿中CPR 32.1~48.1 μg/日, グルカゴン負荷試験にて血中CPR負荷前1.75 ng/ml, 負荷後6分3.13 ng/ml と枯渇には至っておらず, 緩徐進行1型糖尿病と診断した. 退院時インスリン治療は不要と思われたが, 中間型インスリンの就寝前2単位皮下注射を継続して退院した. 抗GAD抗体は退院後も高値であるが, 少量のインスリン治療を継続することで, 血中CPRは1年半経過した現時点でも入院時と同等以上の反応を保持しており, インスリン治療の継続がβ細胞の破壊, 内因性インスリン分泌の低下を抑制している可能性が考えられた.

著者関連情報
© 2005 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top