糖尿病
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原著
就労中の糖尿病患者における療養上の問題点の検討
神田 加壽子岡田 洋右森田 恵美子杉本 英克田中 良哉
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2005 年 48 巻 5 号 p. 309-315

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抄録

糖尿病患者の生活習慣や就労の実態を明らかにし, 就労中の糖尿病患者における療養上の問題点について検討する目的で, 外来通院中の糖尿病患者698名に対し, 生活習慣, 就業状況等についてのアンケートを実施し解析した. その結果, (1) 就労者317名のHbA1c 7.2±1.7%は, 非就労者381名のHbA1c 6.7±1.2%より有意に高かった. (2) 就労者のほうが飲酒率, 喫煙率共に高く, 定期的な運動療法の実施率が低かった. (3) 就労者の22.8%が勤務時間中の服薬や注射を必要としていたが, そのうち26.4%が時々実施できないことがあると回答した. 以上より, 本研究では非就労者に比べ就労者では血糖コントロールが不良であり, 勤務時間中の服薬やインスリン注射を必要とする者では, そうでない者に比べて有意に血糖コントロールが不良であった. したがって, 就労者の薬物療法にあたっては勤務時間, 環境についても十分考慮して治療法を選択すべきである.

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© 2005 一般社団法人 日本糖尿病学会
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