2005 年 48 巻 5 号 p. 317-323
【背景】先端巨大症の薬物療法として酢酸オクトレオチドが頻用されている. 90%以上の症例でGHが低下するため, 耐糖能の改善も期待されるが, 実際にはインスリン分泌抑制作用により耐糖能の悪化する症例も散見する. 【目的】酢酸オクトレオチド投与による耐糖能の変化を検討する. 【対象と方法】当科通院中の酢酸オクトレオチド投与中の先端巨大症患者13例において, 酢酸オクトレオチド投与前後のGH, IGF-I, HbA1c, HOMA指数, 75 gOGTT施行時のAUC glucose, AUC IRIの変化を検討した. 【結果】酢酸オクトレオチド投与によりGH, IGF-Iは有意に低下した (p<0.01). HbA1cは投与前に糖尿病であった群で有意に上昇した (p<0.05). また, HOMA-Sは有意差を認めなかったが, HOMA-βは投与後有意に低下した (p<0.05). 【結語】糖尿病合併先端巨大症患者では, 酢酸オクトレオチドの投与の際に耐糖能の悪化に注意すべきである.