劇症1型糖尿病は妊娠に関連して発症することが知られている. 今回劇症1型糖尿病調査委員会の全国調査で登録された妊娠関連発症 (PF : fulminant type 1 diabetes associated with pregnancy) 19例と, 妊娠可能年齢の非妊娠関連発症 (NPF : fulminant type 1 diabetes not associated with pregnancy) 48例のクラスII HLA血清型を比較検討した. PFのHLA DR9-DQ3 haplotypeはNPF (p=0.0323) 及びコントロール (p=0.0003) に比し有意に高頻度であった. 一方, NPFのDR4-DQ4 haplotypeはPF (p=0.0157) 及びコントロール (p<0.0001) に比し有意に高頻度であった. また, PFのDR9 allele homozygotes及びNPFのDR4 allele homozygotesはそれぞれ他の2群に比し有意に高頻度であった. これらの結果より妊娠関連発症例と非妊娠関連発症例では1型糖尿病感受性クラスII HLAは異なっており, 劇症1型糖尿病の発症を考える上で興味が持たれた.