2005 年 48 巻 Supplement1 号 p. A37-A40
姉は劇症, 妹は非劇症1型糖尿病の症例を経験した. 姉は1989年 (29歳) に感冒様症状を前駆症状として, 自覚症状が出現して5日後に糖尿病性ケトアシドーシスを発症した. pH 7.059, HbA1c 7.3%であり, 尿中C-ペプチドは0.6μg/dayと著明に低下し, 膵酵素の上昇を認めた. ただちにインスリン療法が開始された. 妹は14歳時に数カ月間で体重減少を認め, 空腹時血糖307mg/dl で近医へ緊急入院となった. 1型糖尿病と診断され, インスリン療法が開始された. 発症11年後, 当院初診時の食前後の血中C-ペプチドは0.1ng/ml であった. 姉と妹がなぜ異なる形式で1型糖尿病を発症したかは不明である. 妹だけがHLA-A24を有していたことを特記したい.