2006 年 49 巻 7 号 p. 555-559
糖尿病患者における頭部MRIの結果から,脳梗塞スクリーニング検査としての脈波伝播速度,頸動脈エコーの有用性を検討した.糖尿病患者259名に頭部MRIを行い脳梗塞所見有り群と無し群に分け,各々の血圧脈波,頸動脈エコー,各種検査項目,患者背景について検討した.両群間では脈波伝播速度(PWV),内中膜複合体厚(IMT),プラークの有無,合併症数,年齢,罹病期間,高血圧の有無において有意差を認めた.MRI上の脳梗塞所見を基準評価とし,PWVのカットオフ値を1,600 cm/secとすると感度,特異度は87%,57%,IMTのカットオフ値を0.8 mmとすると各々61%,61%,プラークの有無では各々65%,73%であった.脳梗塞スクリーニング検査として,PWVを第一に行い,次に頸動脈エコーを行いプラークの有無およびIMTを検討した後に,精密検査として頭部MRIを行うのがよいと考えられた.