抄録
日本人小児1型糖尿病患者におけるカーボカウント法の有用性を検討した.25名の糖尿病患者に500ルール,1800ルールを用いてインスリン投与を行ったが食後血糖値はほぼ目標値を示し,カーボカウント法が適応できると考えられた.次に食前食後血糖の差が30 mg/dl未満であった34名の患者の食事炭水化物量と投与したインスリン量からインスリン/カーボ比を算出したが,500ルールで算出できる値より高い傾向を認めた.カーボカウント法と肥満の関係を検討した.年齢,性,治療法をマッチさせたカーボカウント法を用いた患者14名と食品交換表を用いた14名でBMI, HbA1cを比較したが有意差を認めなかった.また発症時よりカーボカウント法を用いた患者13名と食品交換表を用いた17名で発症後1年間のBMI, 肥満度,HbA1cに有意差を認めなかった.日本人小児1型糖尿病患者でもカーボカウント法は有用であると考えられた.