糖尿病
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50 巻 , 10 号
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受賞講演
原著
  • 福澤 正光, 早坂 恭子, 平井 敏, 神山 美香, 赤井 裕輝
    2007 年 50 巻 10 号 p. 719-723
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    発症早期より当科で加療中の急性発症1型糖尿病20例(男性7例,女性13例,劇症型を除く)に対し,グルカゴン負荷テストを約1年ごとに行い,インスリン分泌能の経年変化と血糖コントロールとの相関を検討した.血糖コントロールの指標としてはHbA1cの加重平均を用いた.初回施行から2回目までのグルカゴン負荷6分値の減少率と,この間のHbA1cの加重平均の単回帰分析ではr=0.448, p<0.05で有意な正の相関を認めた.2回目から3回目までのグルカゴン負荷6分値の減少率とHbA1cとの単回帰分析では,n=9と少なく統計上有意ではないがr=0.619, p=0.075と相関傾向が認められた.グルカゴン負荷6分値の経年変化がHbA1cと相関したことより,良好な血糖コントロールが残存する内因性インスリン分泌能を保つ方向に働く可能性が示唆された.
  • 堺 弘治, 中丸 和彦, 宮川 克俊, 山口 康平
    2007 年 50 巻 10 号 p. 725-730
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    空腹時血中インスリン値(F-IRI)単独,あるいは空腹時血糖値(FPG)との組み合わせがSteady state plasma glucose法(SSPG)によって測定されるインスリン抵抗性とどのように相関しているかを検討し,さらにそれらの指標の限界についても検討した.大分県立病院にてSSPGを施行した,63例の2型糖尿病患者でSSPGとF-IRIおよびF-IRI×FPG/405 (HOMA-R)はともによく相関した(vs F-IRI, r=0.286, p<0.05, vs HOMA-R, r=0.393, p<0.005). F-IRIおよびHOMA-Rはインスリンやα-グルコシダーゼ阻害薬によって糖毒性を軽減した症例において,治療前ではSSPGとF-IRIの間に相関関係を認めなかったものの,HOMA-Rとの間には相関関係を認めた(r=0.426, p<0.05). また糖毒性を軽減した後はともに相関関係を認めた(vs F-IRI, r=0.524, p<0.01, vs HOMA-R, r=0.670, p<0.001). さらにグルカゴン負荷によりインスリン分泌能を2群に分類し比較検討したところ,インスリン分泌能が保持された群ではよりよく相関したものの(vs F-IRI, ρ=0.421, p<0.05, vs HOMA-R, ρ=0.584, p<0.005), インスリン分泌が低下している群では相関関係を認めなかった.結語として,F-IRIとHOMA-Rはインスリン抵抗性の簡便な指標として有用であるが,HOMA-Rのほうがその信頼性は高く,インスリン分泌能の低下した患者では両者ともその信頼性は低くなる.
  • 広瀬 正和
    2007 年 50 巻 10 号 p. 731-738
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    日本人小児1型糖尿病患者におけるカーボカウント法の有用性を検討した.25名の糖尿病患者に500ルール,1800ルールを用いてインスリン投与を行ったが食後血糖値はほぼ目標値を示し,カーボカウント法が適応できると考えられた.次に食前食後血糖の差が30 mg/dl未満であった34名の患者の食事炭水化物量と投与したインスリン量からインスリン/カーボ比を算出したが,500ルールで算出できる値より高い傾向を認めた.カーボカウント法と肥満の関係を検討した.年齢,性,治療法をマッチさせたカーボカウント法を用いた患者14名と食品交換表を用いた14名でBMI, HbA1cを比較したが有意差を認めなかった.また発症時よりカーボカウント法を用いた患者13名と食品交換表を用いた17名で発症後1年間のBMI, 肥満度,HbA1cに有意差を認めなかった.日本人小児1型糖尿病患者でもカーボカウント法は有用であると考えられた.
  • 伴野 祥一, 柳川 益美, 上條 隆, 福村 幸仁, 村上 正己, 宇都木 敏浩, 河津 捷二
    2007 年 50 巻 10 号 p. 739-745
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    山村地域(3町村90人)と町地域(3市町155人)での耐糖能および運動習慣を調査し,大学で作成した同じ運動プログラムに基づいて,やはり,大学で養成したインストラクターの指導のもと,各地域で運動を中心とした生活習慣への介入を1年間行い,耐糖能の改善を図った.運動習慣のあるものは,山村地域32%, 町地域51%と前者が有意に少なく(p<0.001), 糖尿病型と境界型を併せた耐糖能異常は,有意差はないものの,山村地域48%, 町地域37%で山村地域のほうが多かった.また,空腹時インスリン値,HOMA-IRとも山村地域のほうが高かった.1年後に同様の検査を行った118人(男28人,女90人:60.6±8.1歳),:山村地域44人,町地域74人)についてみると,耐糖能は,全体では,介入前は正常型58人(49%), 境界型40人(34%), 糖尿病型20人(17%)であったものが,介入後はそれぞれ74人(63%), 27人(23%), 17人(14%)と改善した.なお,改善の程度に地域差はなかった.また,全体でみると,BMIは有意の変化がなかったが,空腹時インスリン値は介入前4.8±3.4 μU/mlが介入後4.2±2.5 μU/ml, HOMA-IRはそれぞれ1.29±0.93, 1.09±0.69とともに有意に低下し(それぞれp<0.05, p<0.01),インスリン抵抗性が改善した.また,高感度CRPも,0.072±0.056 mg/dlから0.069±0.046 mg/dlと有意に低下した(p<0.05). 遠隔にある6地区において,同一の運動を中心とした生活習慣への積極的な介入を行い,耐糖能,インスリン抵抗性および高感度CRPの改善をみた.
症例報告
  • 村上 和春
    2007 年 50 巻 10 号 p. 747-750
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    高齢発症の1型糖尿病に,強皮症を合併した1症例を報告する.症例は69歳,女性,1996年1型糖尿病発症,皮膚の硬化,手指尖端の陥凹性瘢痕,レイノー症状を認め,血清学的にも強皮症と考えられ,1年後,膝関節炎をきたし,関節液の貯留を認めた.RA (2+), RAHA 1,280倍,抗核抗体陽性,RNP抗体陽性,セントロメア抗体陽性であった.1型糖尿病の膵島関連自己抗体は,ICA, 抗インスリン抗体は陰性であったが,抗GAD抗体は陽性であった.サイログロブリン抗体,抗TPO抗体も陽性であり,自己免疫性甲状腺疾患の合併も認めた.臓器特異的自己免疫疾患である1型糖尿病と,全身的自己免疫疾患である強皮症の合併は稀であり,貴重な症例と考えられた.
  • 渡辺 淳, 山内 照章
    2007 年 50 巻 10 号 p. 753-757
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は59歳男性,周期性四肢麻痺を伴う甲状腺機能亢進症の既往がある.2005年3月より慢性C型肝炎に対してPEGインターフェロン(IFN) α-2bとリバビリン併用療法を行っていたところ,投与開始4カ月後より体重減少,多尿が出現し,空腹時血糖373 mg/dlのため入院となった.抗GAD抗体は27,000 U/mlと高値を示したが甲状腺疾患の既往があったにもかかわらず甲状腺ホルモン,甲状腺関連自己抗体には異常を認めなかった.HLA型はA24, B54, DR4, DRB1*0405, DQA1*0303, DQB1*0401であった.強化インスリン療法にて血糖コントロールを行い退院となった.現在IFN, リバビリンは中止し経過観察中であるが抗GAD抗体高値は持続している.本症例は甲状腺疾患の既往を有しIFN, リバビリン併用療法により1型糖尿病を発症したと考えられ,その発症機序について文献的考察を加え報告する.
  • 小河 淳, 木村 美嘉子, 平松 真祐, 坂井 義之, 渡辺 聴正, 吉住 秀之
    2007 年 50 巻 10 号 p. 759-763
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    症例は36歳女性.元来健康で通院加療歴はなし.平成17年9月初旬頃より食事にて改善する動悸・手の震え・冷汗などの症状が出現し近医を受診したところ低血糖症を疑われ当科に紹介受診となった.外来での75 gOGTTでは血糖は境界型であったが,血中IRI値は異常高値(175→995 μU/ml)であった.入院後の絶食試験にて無自覚性の低血糖48 mg/dlと血中IRI値の異常高値(113→39 μU/ml)を認めた.しかし高CPR血症は認めずIRI値との大きな乖離を認め,125I-インスリン結合率82%のインスリン抗体を認めた.インスリン抗体のScatchard解析ではhigh affinity siteの親和定数は0.114×108M-8, 結合能は3.94×10-8Mであった.今までインスリンの使用歴はなく,インスリン抗体の出現,Scatchard解析の結果および低血糖を生じた病歴と併せ,インスリン自己免疫症候群と診断した.ただSH基を有する薬剤服用歴はなかったが,最近服用を始めた健康食品(αリポ酸)には体内に吸収後,組織においてSH基を有するジヒドロリポ酸に還元されることから,またその服用を中止してからは低血糖症状が消失していることから,αリポ酸が誘因である可能性を否定できなかったインスリン自己免疫症候群の一症例と考えた.
コメディカルコーナー・原著
  • 朝倉 俊成, 清野 弘明
    2007 年 50 巻 10 号 p. 765-769
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/20
    ジャーナル フリー
    医療の進歩により,高齢者の糖尿病患者にもインスリン自己注射を行うものが以前に比べて多くなってきた.幼少児や高齢者では,握力やピンチ力といった手指機能が低下していることが多い.そこで,今回はダイアルの回転トルクを機械的に測定し,あわせて患者の評価を得ることによって,ダイアルのクリック力と患者の使用感の関係を考察した.単位設定ダイアルの最大トルク測定は,トルクゲージを用いて10単位ごとに測定した.その結果,インスリン・グラルギン用ダイアル式携帯用インスリンカートリッジシステム注入器300(オプチクリック®: OPC)≒万年筆型キット製剤(ヒューマカート®キット:HMC-K)>ダイアル式携帯用インスリン注入器300(ノボペン®300: NP300)≒インスリン・グラルギン用ダイアル式携帯用インスリン注入器300(オプチペン®プロ1: OPP)>タイマー式携帯用インスリン注入器(イノレット®: INO)≒ペン型プレフィルド製剤(フレックスペン®: FLX)>万年筆型注入器(ヒューマペン®エルゴ:HMP-ERG)≒万年筆型インスリン注入器(ヒューマペン®ラグジュラ:HMP-LUX)の順にトルクが大きく,OPPとOPCは最大設定単位数までのトルクにばらつきがみられた.臨床評価は,インスリン注入器を使用したことのない糖尿病患者60名を対象に実施した.その結果,最終的にクリック力が良いと評価した患者数は,HMP-LUXは8名(13.3%), FLXは39名(65.0%), NP300は12名(20.0%), OPCは1名(1.7%)とFLXが最も多く,患者使用感の評価が高いトルクは0.1∼0.3 kgf·cmであることがわかった.
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