2007 年 50 巻 8 号 p. 631-634
2型糖尿病において脂肪肝はインスリン抵抗性や動脈硬化症,メタボリックシンドローム(MS)との関連が考えられている.2型糖尿病患者298例に腹部超音波検査を行い,脂肪肝の有無を検討し臨床的特徴をアルコール摂取量の評価も含め分析した.135名(45%)に脂肪肝を認め,脂肪肝合併例は,年齢,糖尿病罹病期間,GOT/GPT比が有意に低く,BMI, 体重,腹部肥満率,HbA1c, HOMA-IR, 拡張期血圧,総コレステロール,中性脂肪,γGTP, MS合併率が有意に高かった.アディポネクチン,IMT, PWV, 尿アルブミンは,両群間で差はなかった.アルコール摂取量は脂肪肝合併と有意な関連を示さず,アルコール非摂取者186名のうち89名(47%)に脂肪肝を認めた.多変量解析では,脂肪肝と最も関連する因子はBMIであり,以下GOT/GPT(負),中性脂肪,年齢(負),罹病期間(負)が有意であった.若年,肥満,罹病期間が短い2型糖尿病に脂肪肝を高率に認め,治療管理の指標として脂肪肝は重要であると考えられる.