糖尿病
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症例報告
糖尿病精査中に発見されたblack adenomaによる副腎性プレクリニカルクッシング症候群の1例
本間 ふみか和田 典男吉岡 成人小池 隆夫
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2007 年 50 巻 8 号 p. 627-630

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抄録
症例は71歳男性.11年の糖尿病罹病期間があり,インスリン治療を受けていた.糖尿病腎症による浮腫を主訴に精査,加療のため入院した.入院時の腹部CTにて偶然,右副腎に23×13 mmの腫瘍を認めたが,クッシング症候群に特徴的な身体所見は認めなかった.早朝空腹時血漿ACTH 5 pg/ml未満,血清コルチゾール14.6 μg/dlでありそれぞれの日内変動は消失していた.さらに,デキサメサゾン1 mg, 8 mgにて血清コルチゾールは抑制されなかったことからプレクリニカルクッシング症候群と診断し,当院泌尿器科にて腹腔鏡下副腎摘出術を施行した.腫瘍の割面は黒色であり,病理組織所見と併せblack adenomaと診断した.術後ハイドロコルチゾン10∼20 mgを補充し,血圧の著明な低下,HbA1cの改善を認めた.black adenomaによる副腎性プレクリニカルクッシング症候群の報告は検索したところ3例のみであり,文献的考察を加えてここに報告する.
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© 2007 一般社団法人 日本糖尿病学会
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