抄録
症例は59歳女性,統合失調症加療中.発熱および両下肢の発赤,腫脹を生じ,当初深部静脈血栓症にて治療されたが,ショック状態となり救急搬送された.下肢静脈エコー検査において深部静脈血栓症は否定された.入院時,未治療糖尿病(血糖値478 mg/dl, HbA1c 12.9%)があり,重症敗血症として治療開始し,抗生剤投与によって一度は解熱し,下肢腫脹も改善した.しかし間欠熱および左下肢の腫脹が再度出現した.MRI施行したところ,左腓腹筋内に腫瘤影を認め,穿刺にてStaphylococcus aureus(以下S. aureus)が検出.腓腹筋膿瘍の診断を得たため,切開排膿行い治癒した.化膿性筋炎は診断が遅れると重症敗血症にまで進展し,死に至る場合もあり,注意を要する症例と考え,報告した.