糖尿病
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症例報告
家族性複合型高脂血症に肥満2型糖尿病を合併し,著しい高トリグリセライド血症を呈した1例
桑原(矢野) 絵里加蘆立 恵子川村 光信宮崎 滋平田 結喜緒
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2008 年 51 巻 3 号 p. 233-237

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抄録
症例は40歳の男性.32歳時,健診で糖尿病,高血圧,高脂血症を指摘され,経口血糖降下薬を開始されたが自己中断.37歳時より治療再開したが,いずれもコントロール不良で40歳時,当科受診.随時血糖(272 mg/dl), HbA1c (11.2%), TC (843 mg/dl), TG (6,039 mg/dl)と著明な高値で入院を勧められるも拒否し,内服薬を追加変更され帰宅した.9日後,意識消失と左第2指のしびれ感が出現し入院.頭部MRI, 頸動脈エコーでは異常がなかった.血清脂質のアガロース電気泳動でpreβの著増とテーリングを認めV型高脂血症と判定した.家系内にIIb型高脂血症と心筋梗塞の多発がみられることより家族性複合型高脂血症(FCHL)と診断した.強化インスリン療法,スタチン,EPA, ニコチン酸を併用し,TC (191 mg/dl), TG (201 mg/dl)は改善した.本症例は内臓肥満を伴う2型糖尿病とFCHLの合併例であるが,このように著明な高TG血症を呈するのは比較的稀であり,文献的考察を加えて報告する.
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© 2008 一般社団法人 日本糖尿病学会
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