糖尿病
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症例報告
ステロイドによる高血糖の管理プロトコールの提唱
—前日の食後血糖値を基準にして責任インスリン量を調節した3症例—
山口 康平宮川 克俊中丸 和彦堺 弘治須小 毅
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2008 年 51 巻 5 号 p. 435-440

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抄録
末梢性顔面神経麻痺または突発性難聴に対しハイドロコーチゾンを750 mg, 500 mg, 250 mg, 100 mg各3日間計12日間投与するという治療を行う際,糖尿病症例で高血糖を来した場合に適用する血糖管理プロトコールの有用性を3例について検討した.各食前のインスリンは超速効型インスリンアナログを用い,量の調節としては1日4回(朝食前と各食後)の血糖測定を行って前日の食後血糖値で当日の責任インスリン量を決定した.血糖値とインスリン量の関係は,130∼139 mg/dl→2単位減,140∼220 mg/dl→変更なし,221∼250 mg/dl→2単位増,251∼320 mg/dl→4単位増とした.これらの値をはずれるときのみ医師が決定した.本プロトコールを用いることにより比較的少ない血糖測定回数のもと,低血糖を起こすことは稀で,著明な高血糖を来さず,容易に血糖管理を行うことができた.以上,大量ステロイド療法中の血糖管理に際し,各食前の超速効型インスリンの使用法に関する,有用かつ安全と考えられるプロトコールを提唱した.
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© 2008 一般社団法人 日本糖尿病学会
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