糖尿病
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原著
臨床検査結果からみた貧血患者での簡易血糖測定器による血糖測定の危険性と適応範囲
薬師寺 史厚藤田 浩安田 睦子谷口 顕藤木 和彦大和田 啓秋山 暢鈴木 浩上久 律子寺山 義泰下条 正子
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2008 年 51 巻 9 号 p. 837-843

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抄録
【緒言】簡易血糖測定器(以下BS機器)の多くで,ヘマトクリット(以下Ht)の影響を受けることは既知だが,貧血患者のすべてでBS機器測定を適応外とするのは困難である.【方法】(1) Ht調整静脈血(基礎),(2)貧血19人随時静脈血(臨床),(3)患者時系列(臨床)の3種検体で,BS機器全血血糖(以下WBS)とGOD固定電極法血漿血糖(以下PS)より算出した乖離(Bias (%)=(WBS-PS)/PS×100%)とHtで回帰分析を行った.【結果】GDH-FAD電極法,GOD電極法,GDH-NAD電極法で線形逆相関し,基礎実験よりも臨床実験で傾きが大きい.【考察】基礎実験のみでBS機器の至適Ht範囲を決める危険性,貧血患者では乖離を拡大する他要因の存在の示唆,厳格な血糖コントロールでの低血糖防止のためには,Ht値の影響の程度を取扱説明書に明確に記載すべきであると思われた.
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© 2008 一般社団法人 日本糖尿病学会
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