糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
原著
非肥満2型糖尿病患者におけるメトホルミンの臨床効果
細川 和広目黒 周船江 修村田 千里加藤 清恵杢保 敦子鈴木 吉彦穴澤 園子渥美 義仁松岡 健平
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 52 巻 1 号 p. 1-6

詳細
抄録

メトホルミンは,一般的にはインスリン抵抗性のある肥満症例に適応があるとされている.今回,われわれは非肥満症例における血糖降下作用を肥満例と比較検討した.当院通院中でメトホルミンを単独投与した275例(男172例,女103例)を投与開始後1年間調査し,その血糖降下作用を肥満度別にレトロスペクティブに検討した.正常体重以下群(BMI≤22,n=58), 軽度肥満群(BMI 22.1∼24.9, n=81), 肥満群(BMI≥25, n=136)の3群に分けて検討した.各群の開始時HbA1c(%)は8.07±0.71, 8.15±0.96, 8.16±1.28, 年齢(歳)は60.1±9.8, 59.8±8.6, 55.8±11.9, 罹病年数(年)は13.0±7.2, 11.1±7.3, 8.7±6.3で,肥満群で年齢が他群より若く罹病年数が短かったが, 開始時HbA1cは各群で有意差がなかった.メトホルミン投与開始後6カ月後,HbA1cの低下(%)は各群で-0.79±0.88, -0.81±1.00, -0.73±1.06で有意差がなかった.今回,検討した症例において,メトホルミンは非肥満例でも肥満例と同等の効果があることが示唆された.

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本糖尿病学会
次の記事
feedback
Top