2009 年 52 巻 1 号 p. 7-11
当科に入院した1型糖尿病61例,2型糖尿病116例を対象とし,超速効型インスリンを用いた強化療法におけるNPHインスリン就寝前注射とグラルギン夕食前注射の血糖安定化作用を,夜間血糖を含めて比較検討した.グラルギンとNPHの使用量には有意差がなく,超速効型インスリンの使用量にも両群で差がなかったが,2型糖尿病においてグラルギン群はNPH群より朝食後および夕食後血糖が有意に低値であった.1型糖尿病のNPH群は午前3時に高い低血糖リスクを示したがグラルギン群では低血糖リスクが顕著に抑制されていた.グラルギン夕食前注射は,NPH就寝前注射と同等のインスリン量で,より安全で安定した血糖コントロールを達成しうることが示された.