糖尿病
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原著
蛋白尿陰性の2型糖尿病患者における微量アルブミン尿出現と腎機能低下の危険因子の相違についての検討
新谷 哲司茎田 奈央子井上 靖浩大野 敬三清水 一紀
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2009 年 52 巻 10 号 p. 829-835

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抄録
蛋白尿陰性の2型糖尿病患者における腎機能低下の原因を明らかにすることを目的とした.当院に入院した2型糖尿病患者のうち尿中アルブミン排泄量(urine albumin excretion: UAE) 300 mg/g·Cr未満であった638例を対象とした.UAE 30 mg/g·Cr以上およびクレアチニンクリアランス(Ccr) 60 ml/min未満と関連する因子を,年齢,性別,糖尿病罹病期間,HbA1c, 中性脂肪,HDLコレステロール,LDLコレステロール,収縮期血圧,拡張期血圧,UAE, body mass index (BMI), ウエスト周囲径,喫煙歴,飲酒歴を説明変数として,ステップワイズ重回帰分析を用いて検定した.UAE 30 mg/g·Cr以上となる因子は収縮期血圧,BMI, 罹病期間,HbA1cであった.また,Ccr 60 ml/min未満となる因子は年齢,UAE, ウエスト周囲径であった.腎症病期別にみたところ,Ccr 60 ml/min未満となる因子は,腎症前期では年齢,ウエスト,喫煙であり,微量アルブミン尿期では年齢,HDLコレステロールであった.2型糖尿病患者の微量アルブミン尿出現とGFR低下の危険因子は異なっている可能性が示唆された.
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© 2009 一般社団法人 日本糖尿病学会
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