糖尿病
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症例報告
甲状腺中毒性ミオパチーによる大腿筋力低下を伴いケトアシドーシスで発症した1A型糖尿病の1症例
安井 佑鈴木 義史瀬戸 洋平塩尻 俊明松永 高志堀江 篤哉岩本 逸夫吉田 象二橋本 尚武
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2009 年 52 巻 3 号 p. 243-248

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抄録
症例は64歳,女性.入院4カ月前から徐々に進行する下肢脱力,2週間前より息切れと動悸,その後口渇,多飲,嘔吐が出現し来院.随時血糖439 mg/dl, HbA1c 8.9%, 血中ケトン体高値,代謝性アシドーシスの存在から糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の診断で入院.抗GAD抗体は当初2.2 U/mlと低抗体価陽性であったが,その後83.6 U/mlまで上昇し1A型糖尿病と診断.また,甲状腺腫,甲状腺機能亢進,甲状腺受容体抗体陽性よりバセドウ病の合併と診断した.入院時下肢近位筋優位の筋力低下と,大腿筋の著明な萎縮を認めたが,筋電図で神経原性所見は認めなかった.DKAとバセドウ病の治療を行い筋力低下は3週間程度で回復し,甲状腺中毒性ミオパチーと診断した.病態としてバセドウ病が先行し,1型糖尿病が併発したために,甲状腺機能亢進がDKAの誘因となり,さらにDKAがミオパチーの増悪因子になったと考えた.
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© 2009 一般社団法人 日本糖尿病学会
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