2型糖尿病患者の食行動の偏りが,いかなる食事摂取状況と関連しうるかを明らかにするため,2型糖尿病患者72名(男性49名,女性23名)を対象に,食行動質問表における7つの食行動領域別得点率と,総エネルギー摂取量,栄養素摂取量および食品群別摂取量との関連を検討した.「食事内容」の偏りは男女ともに脂質摂取量と強い関連を示し,男性では「食生活の規則性」の偏りがアルコール飲料の摂取量と,女性では「食べ方」が全ての栄養素摂取量といずれも正の相関を示した.「食事内容」の偏りは肉・魚・卵・大豆製品の摂取量と,「食動機」の偏りは果物の摂取量と,「空腹,満腹感覚」の偏りは乳製品の摂取量と,いずれも有意な正の相関を示した.以上より,2型糖尿病患者では血糖コントロール不良につながると考えられる食行動の偏りを修正することが,関連する食事摂取量の減少につながり,食事療法の有効性の向上に寄与する可能性が示唆された.