糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
持続皮下インスリン注入療法(CSII)により妊娠・周産期・授乳期のインスリン必要量の推移を詳細に観察し得た1型糖尿病の1例
赤羽 貴美子竹内 誠治竹内 彩子篠田 純治
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 53 巻 10 号 p. 760-764

詳細
抄録
持続皮下インスリン注入療法(CSII)にて妊娠前後とも良好な血糖コントロールを維持した1型糖尿病患者を経験し,妊娠に伴うインスリン必要量の推移を評価できたと考えられたため報告する.症例は33歳女性.25歳で1型糖尿病を急性発症.27歳時にCSIIを導入し,33歳時に妊娠し,39週で正常分娩となった.妊娠・出産・授乳終了に至るまで良好な血糖コントロールを維持した.基礎インスリンは,妊娠20週以降増加し,妊娠30週に必要量が最大となり,出産直前に減少,出産直後やや増加し授乳期に低下した.追加インスリンは,20週以降増加し出産直前に最大となり,出産直後から大幅に減少,授乳期は妊娠前と同量となった.授乳終了後は基礎・追加インスリンともに妊娠前の状態に戻った.糖尿病合併妊娠の際にはこのようなインスリン必要量の変化を熟知して対応する必要がある.
著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top