糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
成人発症nesidioblastosisによる難治性低血糖症に対してジアゾキサイドが長期にわたり有効であった1例
新生 忠司岡田 洋右吉村 暁子西田 啓子田中 良哉
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 53 巻 11 号 p. 803-809

詳細
抄録
症例は58歳男性.2002年より夕食前の集中力低下を自覚し,2003年に空腹時低血糖を指摘され当科入院.画像検査では腫瘤影は認められなかったが,IRI/PG比は0.8-1.0と高インスリン性低血糖を認め,ASVSの結果より膵体部微小インスリノーマと考え膵亜全摘術施行.切除膵の病理所見にてnesidioblastosisと診断されたが,術後もインスリン過剰分泌に改善なく空腹時血糖値30~40 mg/dlと低血糖が持続.低血糖による夜間の中途覚醒,日中の集中力低下などの自覚症状も持続するため,本人同意のもと国内未承認薬であるジアゾキサイド内服を開始.同剤開始後よりインスリン過剰分泌は抑制され低血糖症状は消失.現在までジアゾキサイド200 mg/日にて特に副作用は認めず,低血糖症状も消失している.成人発症nesidioblastosisにおいては,術前診断が困難であり,その治療方針は現在まで確立されていない.本例のように術後も低血糖が遷延する成人発症nesidioblastosisの症例では,ジアゾキサイドは長期にわたり有効な治療であると思われる.
著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top