糖尿病
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症例報告
ヒトインスリンによる薬物性肝障害が疑われた2型糖尿病の1例
大場 健司森田 浩川合 弘太郎釣谷 大輔佐々木 茂和沖 隆中村 浩淑
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2010 年 53 巻 12 号 p. 839-844

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抄録
症例は58歳男性. 1988年に前医で2型糖尿病と診断されペンフィル®N注を開始された.2001年に当科を紹介受診したが2002年に通院を自己中断した.2004年7月,白内障にて当院眼科を受診.随時血糖296 mg/dl,HbA1c 15.4%(JDS値)より当科へ紹介入院した.ノボリン®R注,N注による強化療法を開始.血糖値は改善したが3週間でAST 409 IU/l,ALT 498 IU/l,ALP 458 IU/lと肝機能が悪化.併用薬はなく,DDW-J2004薬物性肝障害ワークショップのスコアリングは10点(5点以上:可能性が高い)に該当し,薬物性肝障害が強く疑われた.インスリンアナログ製剤であるヒューマログ®注とランタス®注を併用し,高血糖と肝障害は改善した.インスリン製剤による薬物性肝障害は稀である.本症例はヒトインスリンからインスリンアナログ製剤への変更により肝障害が消失し,興味深い症例と考えられた.
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© 2010 一般社団法人 日本糖尿病学会
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