抄録
症例は33歳男性.2型糖尿病で外来通院中であったが,血糖コントロール不良で腎症第4期など合併症が進行していた.糖尿病神経障害によると思われる起立性低血圧を繰り返すため,降圧剤を中止し昇圧剤を投与したところ,血圧の急激な上昇とともに意識レベルが低下し,痙攣を生じた.頭部MRIの所見および経過により,可逆性後頭葉白質脳症(Reversible posterior leukoencephalopathy syndrome;以下RPLS)と診断した.昇圧剤投与による急激な血圧上昇,進行した腎症,腎性貧血に対するエリスロポイエチン製剤投与,自律神経障害などの複数の要因が発症に関与したと考えられた.糖尿病合併症の進行した高血圧患者において,起立性低血圧に対して昇圧剤を投与する際には,RPLS発症の危険があり,十分な注意が必要である.