糖尿病
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症例報告
有痛性外眼筋麻痺の再発で海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻と診断しえた糖尿病の1例
松尾 実奈中野 昌弘今村 剛藤原 恵理子新井 鐘一豊島 宏
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2012 年 55 巻 1 号 p. 29-33

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抄録

症例は62歳女性.2009年10月頃から頭痛を自覚,徐々に増悪し激痛となったため入院した.臨床所見,検査や画像でも異常所見なく,鎮痛剤で症状は軽快し退院した.その際HbA1c 10.6 %(以下HbA1cはJDS値で表記(糖尿病53:450-467, 2010))の未治療の糖尿病を認めた.退院1ヶ月後に左眼を中心とした痛み・眼瞼下垂と複視が出現し再入院となった.糖尿病性眼筋麻痺も鑑別診断に挙げられたがTolosa-Hunt症候群(以下THSと略す)と診断した.ステロイド治療によって自覚症状は消失し退院した.しかし1ヶ月半後に再び左眼痛・複視,さらに左結膜充血が出現し眼科を受診した.眼窩部に血管雑音を聴取,頭部MRIで左眼球突出と左上眼静脈の拡張所見を認めたことから海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻(以下D-CCFと略す)と診断した.D-CCFの発症初期は糖尿病性眼筋麻痺やTHSなどと類似した症状を呈することがあり,臨床症状の経時的観察や他科との連携した画像診断・評価が必要である.

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© 2012 一般社団法人 日本糖尿病学会
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