糖尿病
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症例報告
インスリン療法開始3ヶ月後に突然の血糖上昇とインスリン分泌能枯渇をきたした2型糖尿病の1症例
市川 瑠美子小室 竜太郎井端 剛正田 英雄飯田 さよみ
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2012 年 55 巻 1 号 p. 23-28

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抄録
症例は64歳男性.54歳時に2型糖尿病と診断されボグリボース開始となったが10年後に血糖コントロール不良のため糖尿病教育入院となりインスリン強化療法を施行した.抗GAD抗体陰性,尿中C-peptide(CPR)は保たれており2相性インスリンアナログ製剤朝夕2回注射にて退院し良好な血糖コントロールが維持できた.ところが退院後3ヶ月の定期診察日に受診し,帰宅後夕食前血糖が突然562 mg/dlに上昇した.血糖急上昇後1ヶ月の血中CPR 0.10 ng/ml以下,4ヶ月の1日尿中CPR 0.95 μg以下であった.抗GAD抗体陰性であったが,好酸球増多,インスリン抗体陽性を認めた.高血糖が続き再度インスリン強化療法に変更したが血糖コントロールは難渋した.本例は2型糖尿病でインスリン導入後良好な経過中,血糖値上昇の日をとらえられた程の突然のコントロール悪化を認め,インスリン分泌能枯渇をきたした症例と考えられたので病態を考察し報告する.
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© 2012 一般社団法人 日本糖尿病学会
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