2012 年 55 巻 1 号 p. 6-11
1型糖尿病患者の血糖コントロールに総エネルギー摂取量,および三大栄養素エネルギー比率がどう関わっているかを明らかにするために1週間の食事調査を行った.対象者は暦年齢20-49歳の1型糖尿病120名(平均HbA1c 6.9±0.8 %)である.HbA1cは総エネルギー摂取量と関連はなかったが,炭水化物エネルギー比率と負の相関があり(r=-0.230, p<0.05),脂質エネルギー比率とは正の相関があった(r=0.208, p<0.05).HbA1cを従属変数とし,BMI,インスリン注射量,総エネルギー摂取量,三大栄養素エネルギー比率を独立変数としてStepwise重回帰分析を行なったところ,HbA1cはインスリン注射量と正の相関をし(β=0.329, p<0.01),炭水化物エネルギー比率とは負の相関を示した(β=-0.234, p<0.01).1型糖尿病患者の血糖コントロールには炭水化物および脂質エネルギー比率が影響していることが示唆され,栄養指導を行なう場合は,三大栄養素エネルギー比率も重視すべきであろう.