糖尿病
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病態・代謝異常・合併症
下肢虚血症状の乏しい末梢動脈疾患合併2型糖尿病患者における冠動脈疾患の有病率
秋山 孝輝池谷 章大山 貴子西川 健一郎奥村 弘史柳川 達生
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2013 年 56 巻 2 号 p. 75-80

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抄録
糖尿病患者では末梢動脈疾患(PAD)の頻度が高い.またPADは予後不良であることが知られており,その一因として,冠動脈疾患(CAD)との合併が高率であるためと考えられている.本邦では下肢虚血症状の強いPAD患者でCADを血管造影による診断で高率に合併するという報告はあるが,無症候性PADでCADを血管造影で診断した調査はみあたらない.今回,下肢虚血症状のない外来糖尿病患者を対象にPADとCADの合併頻度を調査した.本院内科外来通院中で心血管疾患の既往のない糖尿病患者228名(男119名;年齢65.9±10.7歳;HbA1c 7.6±1.0 %:NGSP値)を対象に全例で血圧脈波検査(ABI)を実施した.ABI≤0.9の患者に下肢造影CTを施行し,同意の得られた患者に下肢動脈造影と冠動脈造影を実施した.ABI≤0.9の者は23名(10.2 %)であった.血管造影検査に同意した22名のうち18名をPADと診断し(7.9 %),8名はPADと有意狭窄病変を伴うCADを合併していた(3.5 %).無症候性の糖尿病患者にはPADが少なくとも7.9 %,PADとCADの合併者が少なくとも3.5 %存在し,ABI検査にて早期治療介入が期待できると考えられた.
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© 2013 一般社団法人 日本糖尿病学会
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