糖尿病
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診断・治療(食事・運動・薬物)
安全対策措置前後でのシタグリプチンとSU薬併用による低血糖症例及びSU薬の一日投与量の変化について
岸 達生御前 智子高松 昭司松田 勉
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2013 年 56 巻 5 号 p. 277-284

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抄録

シタグリプチンとSU薬の併用により重篤な低血糖が発現したことから,2010年4月に「インクレチンとSU薬の適正使用に関する委員会」より,SU薬の推奨用量が勧告され,また,シタグリプチンの添付文書も,併用するSU薬の減量を検討する旨改訂された.今回,我々は,これらの措置前後でのシタグリプチンとSU薬併用による重篤な低血糖症例及びSU薬の一日投与量の変化を,独立行政法人医薬品医療機器総合機構に報告された副作用症例及び診療報酬明細書データを利用し調査した.その結果,低血糖症例数は,措置前(5ヵ月間)の70例から措置後(20ヵ月間)の47例と減少していた.また,副作用症例において,グリメピリドの一日投与量が推奨用量(2 mg以下)の症例の割合は,低血糖症例では措置前後で大きな差は無かったが,低血糖以外の症例では措置後に増加していた.診療報酬明細書データの解析結果では,シタグリプチンとグリメピリドが併用して処方されていた症例のうち,グリメピリドの一日投与量が推奨用量の症例の割合は,措置前は52.2 %であったが,措置後は68.2 %(P=0.0015),81.1 %(p<0.0001)と経時的に増加した.以上より,シタグリプチンとグリメピリドの併用で発現した重篤な低血糖は,グリメピリドの減量によって減少したと推定した.

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© 2013 一般社団法人 日本糖尿病学会
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