糖尿病
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症例報告
発症時に複数の膵島関連自己抗体の同時出現を認めた急性発症1型糖尿病の1例
安井 順一川﨑 英二原口 愛池岡 俊幸植木 郁子赤澤 諭堀江 一郎古林 正和阿比留 教生山崎 浩則川上 純
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2014 年 57 巻 2 号 p. 108-112

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抄録

症例は61歳,女性.54歳時に口渇,体重減少が出現し,近医で随時血糖値598 mg/dl,HbA1c 14.2 %,尿ケトン体陽性,尿中CPR 28 μg/日にて糖尿病性ケトーシスの診断のもとインスリン療法が開始された.56歳時に血糖コントロール目的で再入院した際,GAD抗体陽性(337.4 U/ml)が判明し,1A型糖尿病と診断された.内因性インスリン分泌能は枯渇しブリットル型糖尿病を呈していたため,当院紹介入院となった.経時保存血清を用いて膵島関連自己抗体の出現様式を検討したところ,1型糖尿病発症時にGAD抗体,IA-2抗体,ZnT8抗体が同時に出現しており,GAD抗体はその後も持続陽性を呈するもIA-2抗体,ZnT8抗体は発症1~3年後には陰性化していた.一般的には順次出現する膵島関連自己抗体の複数同時出現を確認できた症例は非常に稀であり文献的考察を加え報告する.

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© 2014 一般社団法人 日本糖尿病学会
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