糖尿病
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症例報告
嚢胞性変化を呈した多発性インスリノーマの1例
小川 愛由菅野 尚砥谷 真知土山 芳徳志摩 泰生葛籠 幸栄深田 順一
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キーワード: インスリノーマ, 低血糖
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2014 年 57 巻 3 号 p. 169-174

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抄録

症例は67歳男性.2000年頃より動悸,全身倦怠感を認めた.上記の症状を主訴に2008年2月近医受診の際,血糖値36 mg/dl, IRI 15.6 μU/mlで,腹部CTにて膵臓に腫瘤が認められ,精査加療目的に当院紹介となった.腹部造影CT, MRI,超音波内視鏡にて膵尾部に嚢胞様腫瘤,その尾側にhypervascularな腫瘤が認められ,選択的カルシウム動注後肝静脈サンプリング(calcium arterial stimulation and venous sampling:ASVS)を施行した.脾動脈へのカルシウム負荷にてインスリン血中濃度の上昇を認めたため,膵嚢胞および膵尾部のインスリノーマの診断にて膵体尾部切除術を施行した.切除標本にてインスリン免疫染色陽性を呈する10個以上の結節性病変が認められ,結節の一部は嚢胞状であった.多発する嚢胞状インスリノーマは非常に稀であり報告する.

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© 2014 一般社団法人 日本糖尿病学会
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